5月5日宮城県東松島市で、東日本大震災で亡くなった子どもたちにささげる700匹を超える、こいのぼりが大空を泳ぎました
こどもの日の5日、宮城県東松島市で、東日本大震災で亡くなった子どもたちにささげる700匹を超える、こいのぼりが大空を泳ぎました。
この「青いこいのぼりプロジェクト」は、4年前の震災で当時5歳の弟を亡くした宮城県東松島市の大学生、伊藤健人さん(22)が弟が好きだった青いこいのぼりを天国から見てもらいたいと、全国からこいのぼりを募って毎年こどもの日に行っています。
東松島市大曲浜地区の伊藤さんの自宅跡近くには、地元の住民やボランティアなどが去年までに届いた600匹余りに加えて、ことし新たに寄せられた、こいのぼりを加えた700匹を超える、こいのぼりを揚げました。
中には「希望」や「がんばれ東北」などと被災地への思いが書かれたこいのぼりもあり、こいのぼりが風に乗って大空を泳ぎ出すと参加者から大きな拍手が上がっていました。
仙台市から参加した小学6年生の男の子は「震災のことを忘れずに、また災害が起きても被害を少なくできるようにしたい」と話していました。
伊藤さんは「弟をはじめ、震災で亡くなった子どもたちは無念だったと思いますが今、命ある私たちが笑顔で揚げたこいのぼりを見て笑ってくれたと思います」と話していました。
大曲浜地区は復興工事が始まるため、この場所でこいのぼりを揚げるのは、ことしが最後になりますが、伊藤さんは来年以降も場所を変えてこいのぼりを掲げたいと話しています。
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弟亡くした伊藤さんの思い
青いこいのぼりを掲げたのは宮城県東松島市に住む大学生、伊藤健人さん(22)です。
伊藤さんは東日本大震災の大津波で、当時5歳の弟、律くんと母親と祖父母を亡くしました。4人は津波から避難する途中だったということです。
東松島市では市全体で1100人余りが死亡し、24人の行方が今も分かっていません。
自宅があった大曲浜地区は、ほとんどの住宅が流されました。
伊藤さんは律くんが遺体で見つかったあと、津波で壊れた自宅近くで、土にまみれた長さ3メートルほどの青いこいのぼりを見つけたといいます。
「青いこいのぼりが好きだった弟に、こいのぼりを見せてあげたい。同じように震災で亡くなった多くの子どもの霊を慰めたい」と思った伊藤さんは、震災の年に青いこいのぼりを送ってくれるよう全国に呼びかけました。
この年、204匹が集まった青いこいのぼりは、その後も全国から寄せられ、ことし、700匹を超えるまでになりました。
また、亡くなった律くんは太鼓の演奏が得意だったということで、毎年、青いこいのぼりを仰ぎながら、空の上の律くんに届くように力強い太鼓の演奏が行われています。
伊藤さんは現在、大学4年生で来年の春に大学を卒業するということです。
卒業後は地元の自治体などに就職して、地域の復興に役立ちたいということです。
東日本大震災からの復興と再生をお祈りします。